2022年1月10日月曜日

我が家流 お正月風景  

 つないでくれたもの

<伊達締め>

毎年お正月のテーブル上は伊達締めが活躍する。
細目で長さを調整しやすいので手持ちの伊達締めは毎年使う。
赤 金茶 黒 グレー などの色が
華やかさを引き立ててくれて重宝する。
秋にも落ち葉の色と合わせて使うこともある。
さわやかなグリーンやブルー系の色なら春夏に使える。
普通の帯は柄出しが難しいが伊達締めは扱いやすくテーブルの
センターに流すとそれだけで雰囲気演出が簡単に出来上がる。

重宝する伊達締め

<屠蘇器>
伊達締めの上に屠蘇器を置く。
結婚して間がない頃、屠蘇器は高くてなかなか手が出なかったが
テッセンの柄には不満はあったものの
高額な中でもいくらか安めだったので思い切って購入した。
40年以上も前 当時夫のボーナスをほぼ 叩いた気がする。
仕舞ってある箱から出す時、そんなことも一緒に思い出して愛着がわく。
屠蘇器は新年を迎える我が家の儀式には欠かせない。
屠蘇散に浸して飲むお屠蘇は年の若い順から家長(夫)が注いで祝う。
その作法は子供たちが継承している。
盃の飲み口が少し剝がれてきた。直しに出そう。

伊達締めの上の屠蘇器(テッセン柄)       十時の汁椀

<十時の汁椀>
塗りがしっかりしている十時(ととき)の汁椀にはお雑煮を入れる。
お雑煮は関西にいたときは丸餅で味は白味噌仕立て。
東北では角餅で醤油仕立て。
住む場所も変わると味も変わっていったが、母親が作ってくれた味に戻る。
鶏肉で醤油味が我が家の味になっていった。この頃はセリを入れている。
十時の汁椀も清水の舞台から飛び降りて骨折して手に入れたもの。
当時一客1万2000円×6客 値段は骨折したのでしっかり覚えている。
塗り刷毛の筋がうっすらわかる力強さとその美フォルムは、
しばし豊かな気持ちにさせてくれる。
たとえお雑煮の味が・・でも何とかなる。
お正月3が日が過ぎたので丁寧に洗って柔らかい布で水気を拭き、
乾拭きをすると艶が出る。
陽にかざすと黒塗りのところが赤みを帯びて美しい。
彼らも40年ほど我が家にいる。 大事に大事にしている。
そうそう里帰りした子供たちに芋煮を入れて出したこともあった。

                 塗り盆と十時椀

<朱黒塗り盆>
朱と黒塗りの角盆と丸盆はかねてから師と仰いでいる
及川和子さんから頂いた。
ご自分で漆を塗って製作してくれた盆。
今は80歳をとうに超えておられるはずだがお元気だ。
私の30年前のクライアントさん。
そして町田ひろ子アカデミーで学んだ生徒さん。
彼女は私を「先生」と呼ぶが とんでもない。
頂く文には彼女の好奇心と素敵な絵心が満載 
文章の巧みさに脱帽し 私こそ 「師」と仰いでいる。
仕事の醍醐味は素敵な人と出会えることが大きい。
※彼女のエピソードは山ほどあるのでいすれ書くことにする。
頂いた6枚の角盆と丸盆は大した料理がなくても 
周りを華やかに演出してくれる魔術師。
この盆のお陰で家族の輪がいつも広がる。
角盆に食材をアレンジレイアウトする係はやりたい人がやる。
盛り付けのセンスが問われ多少口も出したいが
お正月なので ガマン ガマン。
京都の佃煮屋さんから届いたおせちも(結構いい味)伊達締めの上に置く。
~海老はね 
腰が曲がるまで元気でいられるように 
ひげが長くなるまで長生きできるように 
目が出ているのは めでたいから~・・とうんちくを聞きながら
見た目でごまかす我が家流 気取らず お正月風景 おそまつ様でした。

 一句  良い漆器は料理の七難隠す(ながしお) 
                   2022 01・10 長塩小夜子