2020年9月3日木曜日

お中元と素麺


京都の友人から残暑見舞いの素麺と遅れたお詫びの便りが届いた。
お中元が遅れてしまいましたすみません・・・etc。

お中元と残暑見舞いの違いで謝るの?

理由はこうである。
そもそも中元とは中国の道教に伝わる三元の祭日の一つ。
上元は一月十五日(小正月)下元が十月十五日で収穫祭
中元の七月十五日は仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)と重なることから
ご先祖様だけでなく
現生でお世話になっている人に素麺やうどん 果物などを
贈り合うようになったのが現在のお中元のはじまりらしい。
古くは生き盆として両親に魚を贈る習わしがあったらしい。
うどんや素麺は無病息災 細く長く 命が永からんことを願うもので
製粉に手間のかかる麺類は米に代わる貴重な食材でもあったろう。

長い手延べそうめん

それを願っての友人からの毎年のお中元は手延べそうめんというわけだった。 
情けないことに私ときたらその理由を理解したのはずっと後のこと。

気温が38度39度と人の体温より高い異常な暑さの続く昨今
昼は氷を浮かべた素麺と決めた。

         

木蓮の根っこにくっついて広がり、自生している白い花の咲く冥加と
夫が育てている畑の葱と生姜を薬味に 長い素麺をさっぱりと食べよう。
庭の夏紅葉の葉と友人の顔も浮かべて・・。   2008長塩   





麻刈り


俳句がブームになって久しい。
先日 麻刈り  という季語を目にした。

あふみのや麻刈る雨の晴間哉   ー蕪村ー

 
麻刈りの様子

 麻刈りの時期 このところ 日本中が雨  数日降り続いていた。

麻ノ繊維ハ 縄トナシ  綱トナシ  降リテ麻布トナス 
 贅ハ 油ヲ絞ル。

春に種をまいた麻は晩夏になると数メートルの高さに成長する。
その強い生命力にあやかって麻の葉文は産着や子供の着物 
女性の襦袢にも使われた。
そのうえ絶縁性が高く昔は雷が鳴ったら蚊帳に入って身を守った。
現在も結界を作り 場を清める道具として神事に欠かせない素材に
なっている。
江戸中期に木綿が普及するまで衣服の中心は麻であり 
藍 紅花とともに三草と呼ばれた。
 


         江戸時代の三草 藍 紅花 麻


新生児産着・麻の葉模様…黄色がなぜ魔よけの色なのか? | 麻の葉柄の初 ... 
麻の葉文の産着柄                組子細工

2015年英国デコレックス展示会で出展された麻の葉柄の椅子と生地


他にも壁材や布団箪笥の湿気取りなどに利用され
内装メーカー東リさんが
以前にケナフ(アオイ科)の壁紙を出している。
施工性の点で今は生産されていないが・・。
実は絞って油にするほか
蕎麦の薬味として七味唐辛子の原料にもなっている優れもの。
改めて麻の威力を見なおしてみたいものだ。



蚊帳
ずいぶんと子供の頃 実家では昼寝の時間や夜に蚊帳を吊っていた。
雷様と蚊帳の記憶も 
昼寝をしない弟が泣くと雷様がおへそを取りに来るから
べそをかきながら蚊帳に入っていた弟の姿のかすかな記憶と
蚊が入るから早く中に入りなさいと
母にたしなめられた光景も断片的に思い出す。

蚊帳の風景

結婚して間もないある日 
母から柳行李に入った蚊帳が届いた。
若い人は行李などは分からないだろうが
茶箱と同様昔は衣類の保存にどの家にもあった。
今はヤフオクで時々見かけるが。
結婚後最初の住まいは広島県福山市だった。
携帯電話もない時代 9時以降は電話代が安くなるので
その時間に母の声を聴いては涙が込み上げた。
夫婦ケンカの時も電話をした。 「好きで一緒になったんでしょ」
遠くに嫁に行ったことを寂しく思っている母の返しの言葉だった。
それにしても蚊帳を送ってくるなんて時代遅れだと半分呆れたものだ。
それはどっしりと重く
白とブルーグリーンの色だったように覚えている。
引っ越しの度に置き場所に困りながらも
「好きで一緒になったんでしょ」という言葉と一緒についてきた。
あれからずいぶんの時が流れ
現在の住まいまではあった気がするが
いつの間にか我が家から蚊帳は行李を残して姿を消した。
一度も使われることはなかった。
今は行李に母の着物が入っている。
麻の繊維を取った後の苧殻は今もお盆に焚く迎え火に使われ 
今夏も親を送った。

送り火に麻の苧殻


コロナ事情で外出の数が減りリモートワークが多くなった。
お気に入りのモスグリーンの麻のワンピースは
光の加減と上半身だけ写るパソコンでは顔写りが悪いのだが
機会をみつけて一度は袖を通そう。
麻は母の思い出と主に蘇ってくるから。
                   202008  長塩小夜子




















2020年6月17日水曜日

シクラメンのかおり


頑張らなくていいよ


シクラメンは冬の花のはずだが
事務所のシクラメンはいまだに咲き続けている。
まだつぼみが3つもある。
夏頃まで咲きそうだが、[もう頑張らなくていいよ!]
 

日頃 ここの主はせわしくしていたのに、
なぜかこの頃出かけなくなってしまった。
いつもと様子が違う・・・。大丈夫かな?
そう思って心配したのだろうか・・。
そんな主を慰めようと精一杯力を振り絞って花を咲かせ頑張ってくれたのかなあ・・。
ひょろひょした姿は 本当にけなげに見える。

6月17日

ひょろひょろと咲く


まだつぼみが3つもある

 バタバタ忙しい時は水やりも忘れがちで気にさえしていなかった時もある。
そのくせ都合の良い時に癒されることばかり求めた。
今ひょろひょろしながら咲く姿をまじまじと見ながら思う。  
「きれいだったよ! あまり頑張ると冬に元気でいてくれない気がするので
もう頑張らなくていいよ。冬に生き生きしてまた会おう・・。」と。6月17日 長塩 











夏萩の咲くころ



巣立ち


早朝5時 新聞を取りに行くと、我が家のツバメたちが 
巣から一羽づつ飛び立って、
ビービー鳴いて家の近くを旋回し始めた瞬間に出会った。

2羽が並行して飛んでいるのは親が飛び方を教えていたのかもしれない。
肉眼で見える範囲で飛び回っていたがやがて静かになって見えなくなり
巣の中は空っぽになった。
雛によっては2・3回巣に戻って飛ぶ練習をしてから巣立つらしいが なんと
我が家のツバメたちは ビービーという鳴き声をたてて早朝どこかに消えるが
夕方になるとまた巣に戻ってくる。もう二週間になる。



玄関の糞対策に敷いた新聞紙をこれで最後と片付けた後から
結局親鳥と育った4羽がホテルのようにまた巣を使い始めたので余計に玄関が汚れた。
ドア前に広げた糞用新聞紙といたるところに落ちる糞、汚れた壁は、美観とは縁遠く
毎日壁紙や床材サンプル メーカーカタログなどを配達してくれる
宅急便のお兄さんたちは そこをうまくよけて通ってくれた。
下を見て 上を見て
「今年も?」 「そうみたい」
「何羽?」  「4羽」
「同じ親ですかね?」 
マスク越しに会話を交わして少々困りながらも育つのを楽しんでくれた。

孵って床に落ちた卵の殻 5月26日


いよいよ巣立つ準備中 6月13日
こんな顔 6月17日朝5時
毎晩戻る 6月24日 親2羽 子4羽 濃厚接触  



夕方戻った6羽が入りきれず横巣を補修して・・。




静かになった玄関 


とうとう巣立って行ってしまった。玄関の夏萩が可憐に咲いていた。

来年も待っていますよ・・。
手入れは行き届いていませんが
紅葉ともっこくと沙羅と山茶花と・・
2階まで背が伸びた金木犀の木と
カリンとぐみの木のある古い家が目印ですから・・。
そうそう主がダイエット用に買った自転車も少し錆びてはいますが
玄関においています‥多分来年も・・。         06・27長塩


2020年6月11日木曜日

自分の市場価値は?

町田ひろ子アカデミー仙台校開講 サンゲツで


ようやく遅ればせながら今日6月10日から授業が始まった。
今年はコロナ事情の厳しい中 
サンゲツさんが気持ちよく教室を提供してくださって 本当に有り難い。
桑名支店長ありがとうございます。感謝です。



学校案内



内容と熱い講師陣



2年越しに入学を検討していた人
子育てをしながら学びたい人
悩みながら前日に入学を決定した人
ICの資格保有者でありながらスキルを高めたいと決心した人・・etc

そんな熱い彼らを学校は放っておくわけにはいきません。
こんな時だからこそ、彼らの市場価値を高めて
優秀なICにして世に出してあげなければ・・(講師陣はもっと熱いですよ!)
講師の責任も相当重いが
キラキラした可能性を持った彼らが育っていく様を一緒に味わうのは
講師の喜びでもある。



英国KLCと提携して15年


サンゲツさんショールーム入口


三密を避け広いスペースを貸していただく

フェイスシールド&マスク姿の建築担当 西條由紀子先生

やるか やらされるか はちがう。
「やっとできた」は「やればできる」を教えてくれる。
受講中、彼らはプラン作成に、頭を悩ませ、
悔しくて 泣くほどの苦しみを味わうかもしれない。

そして 卒業最後の日は 講師が泣く。

今年も ワクワクしながら 
見つめる  見守る  見届ける  の
ルーテイーンで今日から1年が始まった。 

世の中の 様々な文句も、知性があれば提案になる。

彼らから 学ぶこともたくさんあろう。
 
さあ  フェイスシールドを付けて  一緒に進もう!
                           0610長塩小夜子







2020年6月4日木曜日

色と音とは恋人同士

その二  アンリ・ルソー「異国風景」の音



前述 中島氏は 音を色に、ご自分の人生観をのせて作品を披露されたが
逆に色の変化を音の変化に置き換え 観る絵から聴く絵にした例がある。

最近病院の物件提案の中に アンリ・ルソーの作品に注目する機会があった。
ルソーは色彩豊かな密林の幻想画が多く 密に生い茂る樹木は
奥行きは感じさせないが巨大なスケールの植物表現はルソー独特のものだろう。
ありふれた種類の木や花をグロテスクなまでに拡大した結果
光景のなかの人物も獣も、あり得ない背景にとらわれた小動物のようにみえる。

あまり写実的ではなく幻想的でイラストっぽい絵画がないかと
探しているうちに、ルソーの一冊を本箱から取り出ししばし見入ってしまった。
なんと楽しいことか。


     滝



「異国風景」
異国風景1909年

ルソーがこの「異国風景」に描き込んだ植物は12種類ほど。
熱帯地方をよく知っているというのは嘘で
ほとんどが旧大陸のものか架空のものであることはよく知られているが
植物園にこもったルソーが想像力を実現化して描いた作品は
強烈な事実になって惹きつける。
「ゴーギャンはタヒチに向けて発ち、彼の眩惑は人間と環境の対立を暴き出した。
ルソーは植物園の中でタヒチより遠くへ行くのである。」(ドラ・ヴェリエ)

貴重な資料がある
1990年  花と緑の国際万国博 松下館のBGMで使われたメロデイー。

色あせてしまったがしまってあった旋律

これはルソーの異国風景のある部分を左から右に向かってなぞり
色調の濃淡を音の高低に置き換えて作られた旋律。
どの部分かは不明だが実際に音符を弾いてみると、
怪しげで得も言われぬ不思議な世界が表現されて美しく響く。 
【スペースエフブンノイチ】の社名を決める時もこの資料が後ろを押してくれた。
 
この旋律をもとにフーガ風 小さな変奏曲 などを作ってみるのもおもしろいカナ・・・
と思いながらまだ実行はしていない。

エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望
エッフェル塔

密林以外にも風景画があるが一見単純そうに見えるが効果的な空間構成は 
イラスト風で好きな絵画。

・・・美とか快適さなどは主観的な色合いが強かったために
自然科学の対象になり得なかったものが 1/fゆらぎ」という窓を通して、
人にとっての美の意識が少しづつ明らかになっっていく・・・・
そんな思いを込めて スペース1/f と命名してもう30年にもなった。
                              20200604長塩















                                         

2020年6月3日水曜日

色と音とは恋人同士


その一 中島さんの個展


5月末日 朝 家庭菜園で取れた、ほうれん草とさやえんどう 
それに笹かまぼこ少々を手土産に中島さんの個展を観に行った。
「最終日の夜の晩酌に」と手渡した。
しばらくぶりで市内を車で走ったが 日曜の書き入れ時にシャッターを閉めている
店があったり、今更ながらことの重大さを垣間見た感じがした。


カラフルな中島ノブヤ展


中島ノブヤ展の 今年の テーマは 「Sing on!!」 
ややもすると行く先が不安になってしまう昨今 
楽しく前を向いて進もうよ!と絵画が語っているような愉快さだった。
24色のみの ぺんてるクレヨンで描かれている女性たちは
歌にのせてその人生を輝かせ中島さんの人生観と相まって味わい深くもあった。



全部女性の絵 テーマが曲のタイトル



タイトル 水辺の木のように



大口の女性 タイトルは「水辺の木のように」
中島さんのコメントによると曲は古い黒人霊歌で
♪~ I shall  not     I   shall  not   be  moved   ~~~♪

~私の信念は水辺に立つ一本の木のように決して動かない~~ 

思わず微笑んでしまいながらクレヨンの素朴さと色使いの微妙さ 
そしてこの大口で歌っている女性は
どんな人生を歩んできたのか考えると不思議に魅力的だ。

タイトル I get  me  kick

I get  a kick  out you  はシナトラの歌の方が好きだが
♪君にこそ心ときめく・・・♪ バックの色が赤くて情熱的 
ワイン好きは是非。


タイトル Anather  day

                                                                                                                                         

ポールマッカートニーがビートルズを解散後に作った曲 
Anather dayと記憶していて懐かしい好きな曲の一つ。  
こうなったかぁ!
 

どれも楽しくて長居してしまった。

何か一点購入しようとするが 
いざとなると中島さんの明るく楽しい合いと
白い額の雰囲気が我が家とは合わない。

インテリアと合わせること、フレーミングの楽しさと難しさを中島さんと語った。




タイトル 打ち上げ花火


何とか合いそうなトーンを落とした額無しの一枚を見つけた。 
タイトル 「打ち上げ花火」
ベースはグレーにしてみよう フレームは難しそうだ。
絵を観に来た若い男性が 言っていた。
「全員女性たちは目をつぶっていますね!」
目を伏せているからこそ観る側に想像させるのかぁ・・なるほど・・。
新しくて、でもしみじみしていて、‥そんなフレームを見つけてみよう。 
こうご期待!
後日中島さんからこんなメールが届いた。
「頂いたほうれん草、新鮮なので、さっとお浸しにして
根っこまで洗ってあったので 根っこもそのまま頂きました。
きぬさやもさっと茹でてオリーブオイルとちょっぴりお醤油で・・・
最高においしかったです。
まだまだコロナで落ち着かない毎日ですが明るくやっていきたいと思っています。」

さっとお浸しに・・のさっと表現は 男性がなかなか表現できない。
細い長い根っこをそのまま洗って持って行ったことをちゃんとわかってくれた観察力
だからこういう絵が描けるのかもしれない。
音を色に表現した中島ノブヤ展 
愉快な楽しいひと時を有難うございました。 
個展開催中このスペースでプロのトランぺッターと中島さんのベースで
セッションをしている写真をみせてくれた。私もいつか仲間に入れてもらおうっと。
                       0603 長塩小夜子