2018年8月18日土曜日

「癒される」を具体的に!?


 「癒し」という言葉がよく使われて長い。
 町田アカデミーで学んだ生徒さんたちもよく「癒される」を使った。
 そのたびに「癒されるってどういう状態? 具体的に」と質問をしてきた。
 その言葉を使うと良くも悪くも、まわりを煙に巻いてしまう威力がある。
 『五感を刺激するどんな心の状態になったかをはっきり明記せよ!
 癒しの空間一言だけではインテリアをきちんと説明できないでしょ!・・・etc』
 ところがこれを覆してしまう出来事がおきた。
 昨年名古屋の夏 真っただ中 
 場所は三河安城 建設中の老健施設 「安城ひまわり」 の建設現場 
 名古屋の夏は暑く 7月3日当日気温36度
 工事現場内で安全大会と琴平メイさんのARPA演奏が予定されていた。
























7月3日 安城ひまわり建設現場
演奏会? どこで? エッ工事現場で?暑くない? もう一度聞き返した。
 インテリア全般を担当していた私どもは打ち合わせ日ではなかったものの
 安全大会の標語に私は5作も応募していたので早速仙台から現場に向かった。


常にきれいに整理されている内部
作業用の歩道はテープで指示されている
現場はいつどこを見てもきれいに整理されていてすがすがしい
安全大会が終わり現場で琴平メイさんのARPA演奏が始まった。
琴平メイさんの演奏
会場の様子
着替えもままならないような工事現場で
白いドレスに着替えたメイさんの演奏は
誰もが知っている曲がアレンジされて親しみやすく爽やかだった。
コンクリートの四方の壁に音が響いて音響効果はすこぶる良かった。
にわかにセッテイングされたステージに照明効果にと準備された
夜間作業用のライトが届かずにメイさんの足元を照らしていた。 
大型の扇風機音がかすかに邪魔していた。

暑いところで作業をしている人たちに
素敵な音楽を聴いてもらいたいと願った現場監督さんの粋な心根か?
工事現場だからと妥協せず日頃のコンサートと同じようにステージ衣装に着替え
プロ根性を見せてくださった琴平メイさんの演奏力か?
はたまた裸のコンクリート壁か?
美しく整頓された現場を維持している作業員の人たちのプロ根性か?

心の中に熱いものが流れて 
なぜだか涙が流れてしかたなかった。
私にとっての癒しの瞬間だった。

ちなみに頭をひねった安全大会の標語5作は見事落選
特賞は安全靴だった。

今年3月この現場「安城ひまわり」は知事をお迎えして落成した。 


                           デザインオフィス
                                スペースエフブンノイチ
                            180819長塩小夜子