色と音とは恋人同士
その二 アンリ・ルソー「異国風景」の音
逆に色の変化を音の変化に置き換え 観る絵から聴く絵にした例がある。
最近病院の物件提案の中に アンリ・ルソーの作品に注目する機会があった。
ルソーは色彩豊かな密林の幻想画が多く 密に生い茂る樹木は
奥行きは感じさせないが巨大なスケールの植物表現はルソー独特のものだろう。
ありふれた種類の木や花をグロテスクなまでに拡大した結果
光景のなかの人物も獣も、あり得ない背景にとらわれた小動物のようにみえる。
あまり写実的ではなく幻想的でイラストっぽい絵画がないかと
探しているうちに、ルソーの一冊を本箱から取り出ししばし見入ってしまった。
なんと楽しいことか。
ルソーがこの「異国風景」に描き込んだ植物は12種類ほど。
熱帯地方をよく知っているというのは嘘で
ほとんどが旧大陸のものか架空のものであることはよく知られているが
植物園にこもったルソーが想像力を実現化して描いた作品は
強烈な事実になって惹きつける。
「ゴーギャンはタヒチに向けて発ち、彼の眩惑は人間と環境の対立を暴き出した。
ルソーは植物園の中でタヒチより遠くへ行くのである。」(ドラ・ヴェリエ)
貴重な資料がある
1990年 花と緑の国際万国博 松下館のBGMで使われたメロデイー。
これはルソーの異国風景のある部分を左から右に向かってなぞり
色調の濃淡を音の高低に置き換えて作られた旋律。
どの部分かは不明だが実際に音符を弾いてみると、
怪しげで得も言われぬ不思議な世界が表現されて美しく響く。
【スペースエフブンノイチ】の社名を決める時もこの資料が後ろを押してくれた。
この旋律をもとにフーガ風 小さな変奏曲 などを作ってみるのもおもしろいカナ・・・
と思いながらまだ実行はしていない。
密林以外にも風景画があるが一見単純そうに見えるが効果的な空間構成は
イラスト風で好きな絵画。
・・・美とか快適さなどは主観的な色合いが強かったために
自然科学の対象になり得なかったものが 1/fゆらぎ」という窓を通して、
人にとっての美の意識が少しづつ明らかになっっていく・・・・
そんな思いを込めて スペース1/f と命名してもう30年にもなった。
20200604長塩