2023年5月30日火曜日

「いたずらラッコのロッコ」


梅雨前線に台風が重なると莫大な被害が出るという朝のニュース。
2023年5月は予測のつかない今までにない気候の変動が
あった月になってしまった。
そんななか 新聞に目を引かれる記事を見つけた。
23日の北海道新聞写真
    
北海道にラッコの群れが現れるという 
12頭ほどが確認されエサの貝を求め繁殖地の
千島列島などから移動してきたとみられている。
地元ではストレスを与えないよう観察ルートを示す看板を岬に設置したり
保護に力を入れている。

かつて家から車で20分ほどのところにある松島水族館にもラッコがいて
子供たちを連れて見に行った記憶があるのだが
いつの頃からかラッコはいなくなっていた。
今や日本の水族館では繁殖が振るわず3頭までに減少しているらしい。

本箱で見つけた絵本

子供たちが小さかった頃「いたずらラッコのロッコ」を読んで寝かせた。
作者の神沢利子さんは
ラッコのかわいらしさを世に知らせてくれた文化人の先駆けだと思う。
昆布のような海藻をからだに巻いて昼寝をする場面は
子供たちと感心して忘れがたい。

~ラッコたちはねている間、なみにながされてしまわないように、ちゃ色い
ワカメをからだにまいてねむります。~

~ぐずぐずしているとラッコ船がやってくるぞ。
毛皮をくるんとはがされるぞ。~

クラゲのユラは昔ラッコ船にのっていて
毒をもっていて気絶させられると皮をはがされてしまう
カモメのピーコの言うことを聞かないロッコに
~毛皮をはがされてチョッキでもなんでもなりゃいいわ~

神沢さんは父の仕事の関係で樺太に暮らし、
そのためにラッコが泳ぐ姿を見て育ってきたと思われがちだが、
簡単にみられるものではないらしく想像たくましく物語を書き上げたとされる。
1741年のベーリングによる北太平洋探検によって
ラッコの毛皮が初めてロシアに持ち込まれ
これよりラッコの乱獲が始まった話はあまりに有名と神沢さんのあとがきにある。
ロシアという国の無謀さにあきれてしまう。
乱獲のせいで当時の樺太の海でも次第にラッコの数が減っていったようだ。

「海がいくら好きでも現実のわたしは泳ぐどころか
波を見ても気が遠くなるくらいこわいのです。
だから 海の上であおむけに寝て昼寝をしたり 
おなかにアワビをのっけてたべたり 赤ん坊を抱っこし合ったり
波のりをして遊ぶラッコをしった時、
ため息のでるほどうらやましく思ったものです。
こんど海辺にいって 遠く遠く遠く の海にいる
いたずらラッコのなかまたちに
「あなたたちの本ができたよー」と
見せてきたいとおもっています。」1968年出版

現在もお元気な神沢利子さん99歳

いくつかある神沢絵本は嫁に譲ろう。
今私に何ができるか‥を考えた時間だった。   230529 長塩