2020年5月24日日曜日

利府のハイドパーク

【ボツイチおばあちゃん】のユーモア


宮城県の利府町というところに夫の転勤で住んで30年にもなった。
交通の便が悪いのが最大のネックで、車で動かないと何も出来ない。
宮城に来た当時は便の良い仙台市内のマンションに住んでいた。
宮城に土地感が全くなかった私たち夫婦は

「利府は水脈が見つかったのでこれから開ける! モノレールの計画もある!」
と一軒家の設計をしてくれた先生の後押しで利府に移り住んだ。
あれから30年 いまだにモノレールは走っていないし・・・。
不自由さを語ると尽きない。

とはいえ の土地で良かったかなあと思えることが一つだけある。
家の近くには、手を入れすぎない自然公園がいくつもあって最高の癒しをくれる。
私は勝手に利府のハイドパークと呼んでいた。
2匹の娘たちの散歩コースを色々変えてハイドパークを歩くと
仕事の頭が整理されたり 深呼吸をして考える いい機会をくれたりもする。
また同じように散歩をしている人たちと交わすわずかな時間の会話も楽しかったりする。



ハイドパークの桜






爽やかな緑が清々しい散歩コース

芝生で遊んで。





「うちの子もかわいいけど お宅もかわいいね~」
と挨拶をする面白いおばあちゃんとすれ違った。
白い毛並みのホワイトテリアを連れていた。

幾度となく顔を合わす度に同じ言葉で挨拶をするので
ある日「いくつですか?」と聞いてみた。
「83歳 ボツイチよ」とご自分の歳を言われた。
ワンちゃんの年を聞いたつもりだったが 
「エッ? ボツイチ」と聞き返してやがて分かった。
ご主人が亡くなられたのでボツイチ・・・なるほどね。

その後の話が続いて
「ずっと主人の介護に明け暮れ それはそれは大変だったのよ あげくに主人が
 頼みがあるんだけどって 小指を立てて 昔の彼女に会いたい!
 なんて言い出してねぇ~」
「まさか なんて答えたんですか?」と私。
「わかった  連れてくるからね  て 言ったわ。」
「すごいわぁ どうしてそんな風に言えたんですか?
  その人のことご存じだったんですか?」…矢継ぎ早に質問をした。

「介護は楽しくしないと 苦しいからねぇ!」と笑っておられた。

「楽しくかぁ・・・・」

私などまだまだ修行が足りん! と思わされた瞬間だった。
介護の話は色々聞いたのに
名前も聞いていなかったボツイチおばあちゃん。 
多分近くに住んでおられるはずなのに
コロナ事情になって以来ハイドパークで一度も会っていない。 
お元気でいらっしゃるかなあ。
また「うちの子もかわいいけどお宅もかわいいね~」が聞きたい。

ある日柴犬を連れたおじさん
「ここを密かに利府のハイドパークと呼んでいるんですよ」と私
「わたしは長年旅行会社に勤めていましてイギリスのハイドパークは何度も行って
良く知っていますがどこがハイドパークに似ていますか?」とおじさん。
似ていない感マンマンの様子で真顔で聞かれてしまった。    
  まったく   イメージ イメージですよ。


ハナミズキが美しい         子手毬もそろそろ咲く


英国ハイドパーク  似てないかなぁ~

市内で交通の便が良いマンションが良かったか
モノレールが来なかったハイドパークがある田舎が良いのか
いまだに軍配は決まらない。            0524 長塩小夜子